ドンインザムードが父仔制覇 得意の左回りで逆襲決める

2025年08月11日(月) 18:00

血統で振り返るレパードS

【Pick Up】ドンインザムード:1着

 先週、アイビスSDを勝ったピューロマジックと同じアジアエクスプレス産駒。

 同産駒の通算成績は芝19勝、ダート126勝。現役時代に芝の朝日杯FSとダートのレパードSを勝ちましたが、種牡馬としては完全にダート向きで、母の父ディープインパクトの柔らかさを受けて芝をこなしたピューロマジックは少数派です。

 ドンインザムードは、ダートで4勝を挙げたハギノリュクス(父ルーラーシップ)の半弟。母の父アグネスタキオンは2008年のリーディングサイアーで、ダイワスカーレット、ディープスカイ、キャプテントゥーレなど芝向きの大物を出しました。ただ、母の父としては芝511勝、ダート492勝とパワー方向に寄る傾向が見られ、ノンコノユメ、ワイドファラオ、レーヌブランシュといったダート重賞の勝ち馬も出しています。これらのうちワイドファラオ(かしわ記念、ニュージーランドT、ユニコーンS)は、アジアエクスプレスの父ヘニーヒューズを父に持つので、ドンインザムードと配合構成がよく似ています。

血統で振り返るCBC賞

【Pick Up】インビンシブルパパ:1着

 父シャラー(Shalaa)は芝1200m(芝6ハロンを含む)の重賞を5勝し、そのうち2つはG1という芝の強豪。ダンジグ3×3、全兄弟のクリス=ダイイシス3×3という強烈なインブリードを併せ持っています。豊富な筋肉量、とくに巨大なトモが印象的で、それがダート適性の担保となっているような気がします。

 2代父インヴィンシブルスピリットは、オアシスドリーム、ケープクロスなどと並ぶダンジグ系グリーンデザートの有力な後継種牡馬で、名種牡馬キングマン、オーストラリアで3年連続リーディングサイアーとなったアイアムインヴィンシブルの父として知られています。

 母シュワイムサ(Shwaimsa)の兄弟には、フランスの芝重賞勝ち馬が2頭おり、2代母シャープポイントはアイルランドの芝G1で2着という実績があります。

 インビンシブルパパの血統は完全に芝向きですが、父シャラーが秘めるパワーによってダートもこなしていた、という印象です。芝向きといってもヨーロッパ型の血ですから、本質的には少し時計の掛かる馬場がベストでしょう。

知っておきたい! 血統表でよく見る名馬

【ヘニーヒューズ】

 現役時代、アメリカでキングズビショップS(G1・ダ7ハロン)、ヴォスバーグS(G1・ダ6ハロン)など4つの重賞を勝ちました。

 アメリカで種牡馬となった当初は、期待に応えたとはいいがたい成績でしたが、3年目の産駒から米G1を11勝した女傑ビホルダー(Beholder)が出現しました。

 日本での成績は、種牡馬として輸入される前から優秀で、外国産馬や持込馬のアジアエクスプレス、モーニン、ヘニーハウンド、ケイアイレオーネが重賞を勝ちました。日本の種付けで誕生した産駒には、ワイドファラオ、タガノビューティー、アランバローズ、アマンテビアンコ、ペリエール、セラフィックコール、セキフウなどがいます。2021、2022年に全日本ダート種牡馬ランキング(中央平地ダート+地方)で首位に立ちました。

 重心の低いパワフルな馬体で、基本的にはスピードを武器としますが、配合によって幅広い距離で産駒が活躍しています。

 母の父としては、アメリカで名牝モノモイガール(Monomoy Girl)が誕生しています。日本ではまだ産駒が出始めの時期なのですが、ヒヤシンスSや青竜Sで2着となったプロミストジーンが出ています。

血統に関する疑問にズバリ回答!

「オーストラリア競馬の統計が年をまたいだ表記になっているのはなぜですか?」

 北半球と南半球は季節が逆です。北半球が夏ならば南半球は冬です。そのため、南半球のサラブレッドは、北半球とは約半年ずれて誕生します。CBC賞を勝ったインビンシブルパパは9月生まれです。ニュージーランドや南アフリカなどと同じく馬齢は8月1日に更新されます(北半球は1月1日)。

 それにともなって競馬も、8月1日から新シーズンが始まり、翌年7月31日まで続きます。競馬の統計は年をまたぐ形となるため、「2024-25」といった表記になるわけです。

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栗山求

netkeibaでもおなじみの血統評論家・栗山求氏が血統の面白さを初心者にもわかりやすくレクチャー。前週の振り返りや、週末行われるレースの血統的推し馬、豆知識などを通して解説していきます。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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