2025年12月01日(月) 18:00
【Pick Up】カランダガン:1着
父グレンイーグルスは、英愛リーディングサイアー12回の大種牡馬ガリレオと、ジャイアンツコーズウェイの全妹ユアソースリリングを父母に持つ超良血。母は稀代の名繁殖牝馬で、グレンイーグルスを含めた全きょうだい4頭がG1を制覇しています。
2代父ガリレオはミオスタチン遺伝子がTT型だけに、基本的には長めの距離が合うタイプ。母方にスピード豊かなアメリカ血統を入れた配合は成功しており、「ガリレオ×ストームキャット」の組み合わせは、グレンイーグルスの全きょうだいの他に、チャーチル、ミスティフォーミー、デコレーテッドナイト、クレミーといったG1馬が出ています。グレンイーグルスとチャーチルは、いずれも英2000ギニー、愛2000ギニー、ヴィンセントオブライエンナショナルSを勝ったスピードタイプです。
グレンイーグルスは現役時代に硬い馬場を得意とし、産駒のショックアクションはわが国で新潟2歳Sを勝ちました。ヨーロッパではこれまでにラビングドリーム(ロワイヤリュー賞)、ミルストリーム(ジュライC)、パラディウム(独ダービー)といったG1馬を出していますが、世界最強クラスの名馬はカランダガンが初めてです。
母の父シンダーは凱旋門賞、英ダービー、愛ダービーを制覇した重厚なスタミナ血統。それだけに、父グレンイーグルス、2代母の父アクラメーションがスピードを伝える種牡馬であることは、わが国の高速馬場をこなす上で重要な要素だと思われます。2代母の父アクラメーションは、ダークエンジェル(2024年の英愛リーディングサイアー)、メーマスといったスピード型の名種牡馬や、香港の歴史的名馬ロマンチックウォリアーを出しています。
ヨーロッパをベースに活躍する近年の著名なセン馬には、レベルスロマンス、ソロウといった馬がいますが、ジャパンC制覇は格段に難度が高いため、カランダガンはそれらを上回った感があります。子孫を残せないのは残念ですが、息の長い競走生活を送れるはずなので、来年もぜひ来日してほしいものです。
【Pick Up】ジャスティンビスタ:1着
父サートゥルナーリアの2世代目の産駒は好調で、フェスティバルヒル(ファンタジーS)に続いての重賞勝ち馬となります。ショウヘイ、ファンダムを擁する初年度産駒に重賞勝ち馬の数で並びました。11月末時点の総合種牡馬ランキングは18位。昨年産駒がデビューした種牡馬のなかではナンバーワンです。
サートゥルナーリアは現役時代に皐月賞、ホープフルSなどを勝ちました。エピファネイア、リオンディーズの弟で、母は稀代の名牝シーザリオ。この3頭はいずれも種牡馬として成功しています。
ジャスティンビスタはエコロレイズ(弥生賞4着)の半弟で、母ペブルガーデンはラトルスネーク(アーリントンC4着、阪神C5着)の半妹。タイヘイ牧場が輸入した南米チリの最優秀3歳牝馬ワシントンシティのファミリーに属しています。
サートゥルナーリア産駒は、ファンダム、フェスティバルヒル、カヴァレリッツォ、コートアリシアンなど、母方にハーツクライを抱えた配合が成功しています。一方で、ディープインパクトを抱えた配合も悪くなく、父の全体成績を上回っています。この組み合わせの重賞勝ち馬はジャスティンビスタが初となります。
【ガンランナー】
現役時代にBCクラシックをはじめアメリカのダートG1を6勝。米年度代表馬に選出されました。古馬になって本領を発揮したように成長力のあるタイプです。
種牡馬成績も優秀で、初年度産駒から米最優秀2歳牝馬のエコーズールー、プリークネスSの勝ち馬アーリーヴォーティングをはじめ6頭のG1馬を出し、その後もコンスタントに活躍馬を生み出しています。フォーエバーヤングのライバルで2024年の米最優秀3歳牡馬のシエラレオーネも同産駒です。2026年の種付け料はイントゥミスチーフ、ノットディスタイムと同額の25万ドル(約3900万円)。北米の種牡馬のなかでは最高額です。
父はアルゼンチン産のキャンディライド(現役時代に亜米で6戦全勝)。父系をさかのぼるとミスタープロスペクターに到達します。母クワイエットジャイアントは米年度代表馬セイントリアムの半妹にあたる良血で、現役時代に米G2を勝ち、ガンランナーの他に米G3勝ち馬プリティアナを産んでいます。
日本ではまだ大物は出ていませんが、JRAで走った17頭中9頭が勝ち上がり、ドライゼ(ブリーダーズGC3着)、パルクリチュード(フラワーC3着)などを出しています。
基本的にはダート向き。ただ、スピードがあるので芝でまったく走れないわけではありません。距離的な適性は幅広く、配合によってさまざまなタイプが出ています。2歳戦から素質を開化させ、休み明けを苦にせず、人気に推された際の信頼性が高めです。名血クワイエットアメリカンを抱えているので母方に入っても成功する可能性が高いでしょう。
「トップクラスの種牡馬の高額な種付け料は妥当といえますか?」
先日、社台スタリオンステーションとブリーダーズスタリオンステーションに繋養される種牡馬の、2026年の種付け料が発表されました。1000万円以上の種牡馬は以下のとおりです(カッコ内は2025年種付け料との増減)。
2500万円 キタサンブラック(+500万円) イクイノックス(+500万円) 2000万円 キズナ(±0) 1800万円 コントレイル(±0) 1500万円 エピファネイア(+300万円) 1200万円 ロードカナロア(+200万円) スワーヴリチャード(-300万円) 1000万円 ドウデュース(±0) リアルスティール(+500万円) サートゥルナーリア(±0)
種付け料を設定する上で重要なのは、種牡馬としての能力だけでなく、需要と供給のバランスです。産駒がデビューする前の若い種牡馬でも、種付け申し込みが殺到するなら、種付け料を上げざるをえません。イクイノックスはこのパターンです。
種付け料はさまざまな思惑で決まります。チャンスを求めて交配頭数を増やしたい若手種牡馬は種付け料を低めに設定しますし、健康上の懸念があり交配頭数を絞りたい種牡馬は高めに設定します。すべて理由があってその価格となっています。その価格が妥当かどうかは生産者が考えることで、この種牡馬は高すぎる、この種牡馬はお得だ、という判断は人により異なるでしょう。交配頭数が多すぎず少なすぎずという種牡馬は、おおむね妥当な種付け料といえるのではないでしょうか。
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栗山求
netkeibaでもおなじみの血統評論家・栗山求氏が血統の面白さを初心者にもわかりやすくレクチャー。前週の振り返りや、週末行われるレースの血統的推し馬、豆知識などを通して解説していきます。 関連サイト:栗山求の血統BLOG
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【ジャパンCレース後コメント】カランダガン M.バルザローナ騎手ら
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