2025年08月01日(金) 12:00
夏競馬も後半戦に入ってきました。北海道で38度が観測されるなど今年も暑さが厳しい中レースが行われ、馬も人も大変だと思います。観戦されるファンの方も、暑さ対策を十分にして競馬を楽しんでください。
7月13日、福島競馬場で行われたGIII・七夕賞。柴田大知騎手が勝利を挙げ、4年7か月ぶりの重賞勝利を果たしました。相棒のコスモフリーゲンを信じての逃げ切り勝ち。見事な手綱さばきに、やっぱり花の12期生は、凄いなぁ! 感動感動です。「陣営もこれで負けたら仕方ないという仕上げでした。これからの成長ぶりが楽しみな馬です」と感情が溢れながら話していたのが印象深かったです。陣営の皆様、関係者の皆様おめでとうございます。大知騎手、これからも応援しています。
▲柴田大知騎手が七夕賞を制覇(撮影:下野雄規)
同日、私は夏の陣2025というイベントに参加しました。代表を務める奥村さんが、滋賀県でいろんな障害のある人に目を向けてみんなでつくるイベントです。
両親への思いを伝える自作の歌の歌唱、親子の絆を深めるため習い始めたキックボクシング、先輩助手のマジックなどが舞台で披露されました。なかでも、客席を巻き込んでフラダンスの際、小学生くらいの男の子がノリノリでセンス良く踊る姿に拍手喝采。和気あいあいとしたムードの中で開催されました。
▲小学生くらいの男の子のフラダンスに拍手喝采
▲出演者の皆さんと
ここまで10年という長い間イベントを積み重ねていましたが、ひとまず今回がファイナルということで最高に盛り上がりました。奥村代表はとっても熱意のある方で「また違う形で考えていきたい」とおっしゃっていました。僕も昨年と今年で参加させていただき、トークさせていただき感謝です。とってもいい体験ができました。みなさんが楽しんでいる様子が伝わり、とてもいい時間を過ごせました。
▲代表は「また違う形で考えていきたい」と
多くの方が出演された中で一番びっくり感動したのが、昨年11月「認知症の人と家族の会」ウォーキングに参加した際、車いすか杖をついて歩かれた女性のサポートで一緒に参加されていた方がすっかり元気になられ、秋から福祉施設で働くと教えてくれたことです。夏の陣での体験や皆さんに支えて頂いたお陰です。20代のとっても素敵なお嬢様になられていました。
人の支える力、共生力が、人を強くするんだと実感し、色々なことを考えさせられました。「介護福祉を勉強しテストを受けましたが難しく、3回も落ちたけど諦めずに頑張りました。自分を助けてくれた多くの人のおかげで元気になれたので、恩返しがしたいという思いで勉強しました」と話されていて、その方の強い意思に刺激を受けました。
▲リハビリを頑張り、復帰された女性が感謝の花束贈呈
いよいよファイナルで、みんな舞台に上がり「〜絆〜夏の陣FINALスペシャルバージョン『心が一つこれぞ地域共生! つながりの証だ EXISTENCE Word・Music・Freddie・By夏の陣’S』」を大合唱。関係者から花束が贈られ感無量の中、幕が下りました。次への構想もあるとか? 今度は冬の陣かな? またこうしたイベントがあれば是非参加したいと思います。
▲感動のフィナーレ
僕も高校3年生になり進路を考え、進学か就職か? と考えているところです。「自分には何ができるか?」と考えたとき、ずっと馬と関わってきたので馬に関わる仕事をしたいと思っています。しかし、左反則無視、視野欠損があり車の運転ができないので、牧場での仕事は出来ても生活の手伝いはできないだろうということです。悩みますね。
1学期の期末考査も終了し、あっという間の時間が過ぎました。授業もかなり難しく、政治や経済の話題が多かったです。参議院議員選挙があったりとニュースはその話題で持ち切り。これらは教科書では解決できませんね。そして、やっぱり英語は難しいです。母が「NOVAの英語教室は難しいから公文式の英語を習いに行くか? 小学生に交じって」と一言。僕は今度は、高校生から小学生になりそうです。「ランドセルいるね」と言われてしまいました。がんばらねば。
終業式の日には特別授業があり、聴導犬のデモストレーションがありました。丁度、僕がいま通っている聴覚障害支援施設の方が来られ「あっ! 常石君高校生だったね」と驚かれました。まさか来られるとは、僕の方がビックリです。
「動物と共存する優しい社会づくりを目指す」という“命の授業”をしてくださいました。人と犬が、毎日触れ合うことで生活習慣が身に付き、意思疎通ができるようになっていくのだといいます。ドッグセラピーは安心感や前向きな意欲の向上など教育的な効果が期待できる活動です。セラピードッグとの触れ合いを通じ、命の大切さを感じてもらいたいです。
▲聴導犬の訓練の様子
セラピードッグは、日々訓練し資格を取っています。例えば耳の不自由な人には家庭内の音が出る電化製品の音を知らせたりします。目覚ましが鳴っても知らせるんですよ。僕もみみの里の作業所で聴導犬の訓練を少しだけしています。自宅の犬も聴導犬の訓練を受けているのでとっても利口です。
自宅の犬は、いつも僕と一緒に散歩をしていて、寝るのも僕の部屋にあるケージに入って寝ています。しかし、海外遠征で留守にしているときは落ち着かず、ケージに入ったり出たりして、僕がいないので母の部屋のマットの上で寝るんだとか。そして毎日それを繰り返しているようです。僕がいないのがよくわかるんでしょうね。食事の時間も分かるようで、遅くなると餌の入っている引き出しの前でずっと待ちます。また、たまに病院へも訪問し、セラピーで患者さんたちの心を和らげたり癒しになっています。
馬も厩舎で担当の厩務員が来たら分かりますよね。餌がほしい時も前カキして要求します。人は動物に癒され、動物は人に守られる。お互いに無くてはならない存在ですね。
動物セラピーは、馬も同じです。言葉は無くても気持ちが通じ合えるんですね。馬も犬も人の動きや匂いなど感じることができます。一番すごいと思ったのは、人が話しているとき動物たちが眼をじっと見て視線を外さないことです。人も人と話すときは、視線を外さない様にしっかり見ることが大事だと思います。
僕は忘れ物など失敗が多いので、母の雷が落ち説教されていると我が家の犬が、母に「もうこれくらいでいいやろー」と前カキをして助けてくれます。そのたびに「ブルーありがとう!」というんですよ(笑)。
高校生の皆さんへメッセージ。夏休みになり、海などレジャーを楽しまれると思いますが、くれぐれも命を大切にしてください。命を守ってください。動物との共存の大切さを通じ、改めて命の大切さを感じました。犬も僕を助けてくれてありがとう! もう13歳になり白内障になって眼が見えにくくなっていますが、匂いを感じ散歩しています。がんばれブルー!
オカン 猛暑の中、毎日息子の付き合いで散歩する我が家の愛犬はよく頑張っています。息子のリハビリにも付き合い階段昇降も上手くなりました。我が家ではなくてはならない存在です。馬も犬もいたから元気になった息子ともう少し付き合って上げてください。親には出来ない癒しや、心の声を聞いてくれているように思います。
また夏の陣という大きなイベントにも参加し、いのちの絆で繋いでいただき感謝。他にも、母校での講演で中学生のフレッシュなパワーもいただき感謝です。7月は命の大切さを教えていただきました。よくぞ落馬で意識不明から戻ってきましたね。いのちを丸儲けしてください。強化選手として海外遠征もあります。がんばれ! 息子よ。馬もブルーもみているよ!
つねかつこと常石勝義&オカン
(文中敬称略、次回の更新は9/1(月)を予定しています)
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常石勝義
1977年8月2日生まれ、大阪府出身。96年3月にJRAで騎手デビュー。「花の12期生」福永祐一、和田竜二らが同期。同月10日タニノレセプションで初勝利を挙げ、デビュー5か月で12勝をマーク。しかし同年8月の落馬事故で意識不明に。その後奇跡的な回復で復帰し、03年には中山GJでGI制覇(ビッグテースト)。 04年8月28日の豊国JS(小倉)で再び落馬。復帰を目指してリハビリを行っていたが、07年2月28日付で引退。現在は栗東トレセンを中心に取材活動を行っている。
プロフィール
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