日本からのセール参戦も! 世界で注目を集めるオーストラリアのセリや種牡馬シンジケート

2025年02月07日(金) 12:00

豪州のサラブレッドマーケティング団体であるオスホース(Aushorse)が、オーストラリアのサラブレッド産業を世界中に発信。

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2頭のホームアフェアーズ産駒を落札

 1月、中内田調教師がオーストラリアのマジックミリオンズ社ゴールドコースト1歳馬セールにて、DMM.comの代理購入とし父ホームアフェアーズ、母サンライトの牝馬を320万オーストラリアドル(約3億1000万円)で落札した。DMMバヌーシーで募集されるのか、注目していきたいところだ。中内田調教師は、昨年同じくオーストラリアのイングリス社イースターセールにも参加し、10億円で落札された、元チャンピオン馬ウィンクスの1歳牝のセリにも手を挙げていたようだ。

 この3億円が出たセリにてノーザンファームもホームアフェアーズの牡馬を落札している。新種牡馬ホームアフェアーズの父はオーストラリアのリーディング種牡馬アイアムインヴィンシブル。将来の種牡馬候補として牡馬を購買する、種牡馬シンジケートの一頭として、クールモアが顧客と共に、2020年のイングリス社イースターセールで当馬を87万5千ドルで購買している。その後当馬は、リーディング調教師ウォーラ―厩舎の管理下で、2歳の世界最高額G1ゴールデンスリッパ―の前哨戦G2シルバースリッパ―で優勝。本番のゴールデンスリッパ―では8着だったが、3歳明けのG1クールモアスタッドSで優勝。3歳暮れのG1レースでも優勝し、通算10戦4勝という成績で引退している。

 オーストラリアの良血牡馬が3歳の暮れで引退するのは、早い時期にG1レースで優勝した、その馬の強い印象を留めておきたいため、すなわち価値を留めておきたいためだ。現役を続け、4歳以降に成績が伸びなかったり、怪我などで休養期間が長くなると、一転して種牡馬としての人気(価値)が落ちることになるからである。

 豪州産ジャスティファイ産駒のストームボーイが、無傷の3連勝を飾り、2歳戦最高峰G1ゴールデンスリッパーSの本命だった時、当馬はレース前に数十億でトレードされている。(ゴールデンスリッパ―で優勝すれば追加25億というオプション付きだった。)そのストームボーイは現在3歳の暮れでG2優勝止まりとなっているが、オーストラリアでの種牡馬価値がトレード額に追いつかないため、アイルランドに輸出され、今年からバリードイル調教師管理の元で競走を続ける予定となっている。

 ストームボーイのように、短距離のグレードレースを2歳、3歳で優勝すると、血統によって数十億というオファーが入る。そのため、上に記載したような種牡馬の素質がある牡馬をグループで購買するシンジケートがいくつもある。統計ではオーストラリアの高額トップ50頭の牡馬の平均価格は、アメリカやヨーロッパのその価格より低い79万ドルという数字が出ている。種牡馬になれそうな血統の牡馬を比較的安い価格で購買し、1、2年後に数十億としてトレード出来る可能性があるので、世界の大手生産者ももちろん、この種牡馬シンジケートに参加をしている。牝馬も同じように、良血牝馬のトップ50頭の平均価格は、アメリカやヨーロッパよりも比較的に安い。

 さて、なぜホームアフェアーズなのか。ホームアフェアーズの血統を4代さかのぼれば、6頭がアメリカ産で、オーストラリア産の馬は1頭だけとなる。芝のスピードと早熟差を求め、世界中から種牡馬と繁殖が集まる国なので、当馬のような血統は珍しくはない。2歳馬で重賞を制していた父だけに、半年遅れも感じさせない馬体もあるだろう。母サンライトも2歳戦から活躍し、3歳時にはG1レースで牡馬を負かすチャンピオン3歳牝馬だった。2頭のホームアフェアーズ産駒の日本での活躍を心より応援したい。

 今後のオーストラリアの1歳馬セールは、2月、3月、4月、6月と続く。4月シドニー開催のイングリス社イースターセールは南半球の良血馬が集合するため、種牡馬シンジケート、良血シンジケートが狙いを定めているセリで、毎年億以上を付ける馬が多く登場するセリだ。上記セールはオンラインで名簿が見られるので、興味のある方はぜひ見てみて欲しい。フランケルやガンランナー産駒が登場するなど国際色豊かな名簿で、将来の基幹的繁殖に向いた牝馬も多く登場予定だ。

 高額賞金、数多いレース数と、オーストラリアは必然的に競馬と生産で楽しめる可能性が高い。管理費の高騰、引退馬についてなど、業界に全く問題がないとは言えないが、百川、海に朝すということわざのように、利益があるところには人は集まり、オーストラリアの競馬と生産の未来は発展を続けていくと信じている。

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オスホース

豪州のサラブレッドマーケティング団体であるオスホース(Aushorse)は、オーストラリアのサラブレッド産業を世界中に発信。本コラムでは、日本でも活躍が目立つオーストラリア血統を評論家たちが紹介します!

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