【富田暁騎手、誰も知らない7か月】“溺れかけ”の富田騎手が掴んだ2勝目──支えとなった横山典弘騎手の一言/後編

2025年07月17日(木) 18:02

海外競馬通信

▲富田騎手の“知られざる米遠征”(撮影:高橋正和)

昨年の11月にアメリカへと渡り、文字通りの「武者修行」に身を投じている富田暁騎手。ここまでの道のりは想像以上の過酷さで、折れた心を何度も奮い立たせ、念願の初勝利を手にできたのは今年の6月27日。そして、初勝利から1週間後に2勝目をもぎ取りました。

インタビューの後編では、アメリカ生活の厳しい経済事情や、何かをつかむきっかけとなったノリさんからのアドバイスなど、今の富田騎手をとりまくすべてを赤裸々に語ります。最後には、お世話になっている先輩、藤岡佑介騎手へのお願いも…!

前編はこちら▼

【富田暁騎手、誰も知らない7カ月】エージェントが消え、馬にすら乗れなかった──アメリカ競馬の現実と救いの存在/前編

(取材・構成=不破由妃子)

競馬に乗らないと収入ゼロ、今はチップが頼りです

──カリフォルニアでは木村和士さんと一緒に住んでいたとのことですが、5月の終わりにエメラルドダウンズに移動してからのお住まいは?

富田 アメリカは物価が高いので、住む場所を見つけるのも大変なんですけど、エージェントがいいところを見つけてくれたので、今はひとりで暮らしています。とはいえマンションとかではなくて、家主さんのお宅の離れというか、車庫のなかにひとりでは広すぎるくらいのスペースがあって、そこに住まわせてもらっています。

──ガレージのなかに大きな部屋があるなんて、映画の世界みたい。

富田 まさに映画に出てくるような環境ですよ。母屋にはご夫婦が住んでらっしゃって、犬や猫、あとは2匹の羊と一緒に暮らしています(笑)。目の前が湖で、すごく自然が豊かなところです。

──いいですねぇ。食事はどうされているんですか?

富田 カレーとか簡単なものばかりですが、基本的には自炊してますよ。日本のスーパーがありますし、僕、最初は本当に食が合わなくて、けっこう痩せちゃったんですよね。一時帰国したときは、アメリカに行く前に比べて3キロくらいは痩せてたんじゃないかな。

──もともと痩せているジョッキーの3キロは大きいですね。

富田 そうなんですよ。トレーニングはしていたのに、筋肉も落ちちゃって。やっぱり僕はお米を食べないとダメだなと思って、そこから自炊するようになりました。それに、毎日外食していたら、お金がもたない(苦笑)。

──アメリカの物価、恐るべし(笑)。

富田 物価もそうですが、アメリカは競馬に乗らないとお金が入ってこないので。オーストラリアにいた頃は競馬ももっと乗っていたし、給料も出ていたんです。だから、普通に外食に頼っていたんですけど、アメリカではそうはいかない。調教料もないですしね。ただ、調教に乗っていると、たまにチップをもらえるんですよ。それが本当にありがたくて、今はチップが頼りです(笑)。

──金融リテラシーが磨かれそうですね。

富田 それは本当に感じてます。日本でも普通にスーパーとか行ってましたけど、正直、・・・

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