米国の3歳ダート中距離路線の勢力分布は?

2025年08月13日(水) 12:00

今年の3歳世代は高水準か

 古馬編をお届けした先週に引き続き、今週は米国ダート中距離路線における、3歳世代の有力馬の近況をお伝えしたい。

 この路線のクライマックスとなるのは、11月1日にデルマーで行われるG1・BCクラシック(d10F)だが、1番人気と3番人気に推されているのは3歳馬である。それだけ今年の3歳世代の水準は、高く評価されているのだ。

 各社が2.75倍〜3.25倍のオッズを掲げ、BCクラシックの1番人気に推しているのが、W.モット厩舎のソヴリンティ(牡3、父イントゥミスチーフ)だ。ゴドルフィンによる自家生産馬で、祖母がG1スピンスターS(AW9F)勝ち馬ムシュカという血統背景をもつ同馬。2歳8月にデビューし、サラトガ競馬場のメイドン(d6F)4着、アケダクト競馬場のメイドン(d8F)2着と勝ち切ることが出来なかったのに、陣営は同馬の3戦目にチャーチルダウンズ競馬場のG3・ストリートセンスS(d8.5F)を選択。ここを見事に勝利し、重賞で初勝利をあげた。

 冬はフロリダで過ごし、3歳初戦となったG2・ファウンテンオブユースS(d8.5F)を制し重賞連勝。続くG1・フロリダダービー(d9F)でタッパンストリートの2着に敗れた後、泥んこ馬場での大乱戦となったG1・ケンタッキーダービー(d10F)を制しG1初制覇。2冠目のG1・プリークネスS(d9.5F)をスキップして臨んだG1・ベルモントS(d10F)を制し、2冠を達成した。

 短い休養をはさんで、ソヴリンティは7月26日にサラトガ競馬場で行われたG2・ジムダンディS(d9F)に出走。G1・ケンタッキーダービー、G1・ベルモントSがいずれも3着だったバエザを2着に退けて制し、5度目の重賞制覇を果たした。

 その後もサラトガに留まって調整されている同馬の次走は、8月23日に行われる“Mid Summer Derby(=真夏のダービー)”G1・トラヴァーズSの予定だ。

 続いて、各社が7〜8倍のオッズを提示しBCクラシックの前売り3番人気に推すのが、M.マカシー厩舎のジャーナリズム(牡3、父カーリン)だ。G2・ラカナダS(d8F)を制した他、G1・ラブレアS(d7F)3着など7つのG1で入着したモポティズムの初仔で、ファシグティプトンサラトガ1歳市場にて82万5千ポンド(当時のレートで約1億1773万円)で購買された同馬。2歳10月にデビュー。2歳時は3戦し、2歳最終戦となったG2ロスアラミトスS(d8.5F)を含む2勝をあげた。

 3歳を迎えると、サンタアニタ競馬場でG2・サンフェリペS(d8.5F)、続くG1・サンタアニタダービー(d9F)を連勝。重賞3連勝を果たすとともに、G1初制覇を果たした。その後は、3歳3冠を皆勤。発馬直後に他馬との接触が複数回あったG1・ケンタッキーダービーは、ソヴリンティの2着に惜敗。2冠目のG1・プリークネスSでもまた、4コーナーから直線に入ったあたりで他馬との接触があったものの、ライバルたちを押しのけるように伸びて優勝。3冠目のG1・ベルモントSは、ケンタッキーダービーに続いてソヴリンティの2着に終わった。

 1カ月半の間隔を置いて、ジャーナリズムは7月19日にモンマスパーク競馬場で行われたG1・ハスケルS(d9F)に参戦。G1・プリークネスSの2着馬ゴスガーをここでも2着に退け、3度目のG1制覇を果たした。

 レース後、ジャーナリズムは拠点である西海岸のデルマー競馬場に帰厩。この原稿を書いている段階で、マカシー師は同馬の次走について明言していない。8月23日のG1・トラヴァーズSになるのか、その1週間後の8月30日にデルマー競馬場で行われるG1・パシフィッククラシック(d10F)になるのか。

 前者に向かえば、ソヴリンティとの3度目の顔合わせが実現するし、後者に向かえば、デビュー以来ここまで6戦し、前走G2・サンディエゴH(d8.5F)を含めて5勝を挙げている西海岸最強古馬ナイソス(牡4、父ナイキスト)とのマッチアップが見られることになる。

 ちなみに、BCクラシックへ向けた前売りで、ソヴリンティとジャーナリズムに挟まれる形で、2番人気(オッズ6倍前後)に推されているのが、先週のこのコラムでご紹介した古馬のシエラレオーネ(牡4、父ガンランナー)だ。そして、これに続く4番手グループを形成しているのが、先週ご紹介したマインドフレーム(牡4、父コンスティテューション)、西海岸のナイソス、そして我らがフォーエバーヤング(牡4、父リアルスティール)の3頭である。

 23日のG1・トラヴァーズS、30日のG1・パシフィッククラシック、そして、シエラレオーネとマインドフレームが顔を合わせる31日のG1・ジョッキークラブGC(d10F)が、BCクラシックを占う上できわめて重要な戦いになりそうだ。

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合田直弘

1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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